過去に『住宅ローン控除の仕組み・条件』で住宅ローン控除の仕組みや適用条件などをご紹介させて頂きました。今回の記事と合わせて読んでもらえるとしっかりわかってもらえると思います。
さて、それでは住宅ローン利用者の皆様に質問です。
自分は、一体いくら控除されるのか、また控除(減税)されているのかご存知でしょうか?
物件を購入される際に不動産会社などからなんとなく説明を受けたけど、はっきりとはわからないと言う人がほとんどではないでしょうか?
それに年収や借入額により異なるので、わかりづらいことも多いので困惑している人も少なくないですよね。
そこで今回は、住宅ローン控除額の計算方法と年収・借入金額別の減税額一覧を使って簡単に解説していきます。
最後まで読んで自分ならどれくらいになるのか計算してみてください。
また今回の記事は消費税8%または10%適用の場合と平成26年4月1日~令和元年9月30日までに居住した場合で解説しています。
この記事は約5分で読めます。
住宅ローン控除額の計算方法
住宅ローン控除額は、控除を受ける年末の『住宅ローン残高に控除率1%をかけた金額』、もしくは『控除限度額40万円』の小さい方の額が適用されます。
一般的に住宅ローン残高から算出した数字の方が小さいケースがほとんどです。
注意してもらいたいのが算出した控除可能額がすべて適用されるわけではありません。控除可能額を求めて、納める税金から差引します。納める税額より控除可能額が大きくなってしまった場合、適用される住宅ローンの控除の金額は税額分のみになります。
わかりやすくすると控除される減税額は3つの金額を比較すると簡単です。
- 年末時の住宅ローンの残高×1%
- 所得税の控除限度額40万円
- 控除対象税額:所得税+住民税(※住民税の控除限度額は136,000円)
この3つのうち各年において最も小さい金額のもの=住宅ローン減税額になります。
③のケースが一番多いので、ご自身の給与明細や源泉徴収票を見てみるとどれくらいになるか、ざっくりとした金額はわかると思います。要は、所得税から控除しても、控除しきれない部分は住民税から控除されることになります。
住宅ローン控除シミュレーション一覧
ここまで解説したことを踏まえてシミュレーションしたものを見てみましょう
夫婦(妻:専業主婦)子ども(16歳未満)…扶養家族1人
金利1.2%(全期間固定金利)返済期間30年・元利均等返済
減税額 | 借入金額 | |||
年 収 | 2,000万円 | 2,500万円 | 3,000万円 | 3,500万円 |
年収400万円 | 162万円 | 172万円 | 172万円 | 172万円 |
年収500万円 | 168万円 | 207万円 | 223万円 | 225万円 |
年収600万円 | 168万円 | 210万円 | 251万円 | 274万円 |
年収700万円 | 168万円 | 210万円 | 252万円 | 294万円 |
年収800万円 | 168万円 | 210万円 | 252万円 | 294万円 |
拡充適用時減税例 | +38万円※1 | +47万円 | +57万円 | +67万円 |
表の額は消費税8%もしくは10%適用時の10年間(拡充措置適用時13年間)の所得税および住民税の減税総額※1 計算例:11年目133,000円+12年目128,000+13年目122,000≒38万円 |
※拡充措置:令和元年10月1日の消費税10%への引上げ対策として、減税制度が拡充されている。制度内容としては控除期間が通常10年間が13年間と3年間延長されています。ただ、適用の期間が令和元年10月1日から令和2年12月31日までに居住した場合となっているため今回の記事ではあまりふれていません。(令和2年11月時点)
繰上返済はうまく活用しよう
繰上返済をする際には、住宅ローン控除とのバランスにも注意しましょう。なぜなら、繰上返済によって得られる利息軽減効果よりも、繰上返済を控えて住宅ローン控除をできるだけ活用するほうが、効果が大きくなる可能性があるためです。まずは繰上返済について簡単に解説します。
- 繰上返済のタイプ
住宅ローンで繰上返済をする場合2つのタイプがあります。
繰上返済タイプ | 期 間 | 月々の返済額 |
期間短縮型 | 返済期間の短縮 | 変わらない |
返済額軽減型 | 変わらない | 月々の返済額が減る |
期間短縮型を利用される人が多いですが、自分たちの資金や目的に合った繰上返済の仕方を考えましょう。
- 繰上返済のメリット・デメリット
繰上返済は無理してすることではないので、メリット・デメリットを理解してお金に余裕が出来たタイミングで行いましょう。
- 最大のメリットは金利、つまり利息を軽減できるところです。繰上返済した資金は住宅ローンの元金部分の返済に充てるので、繰上返済以降はその元金部分にかかるはずだった分の利息を支払うことが無くなるからです。
- 繰上返済の金額が多ければ多いほど元金は減るので利息軽減効果は大きくなります。加えて返済開始当初は返済のうち利息の占める割合が大きいため元金は中々減らないので、早期に行うほど利息軽減は大きくなります。
- 繰上返済をする際に金融機関な契約内容によっては繰上返済手数料が発生することがあります。
- 繰上返済をするということは一時的に手元からお金が減るわけなので、突発的にお金が必要なときに対応しづらくなることは考えられます。ライフプランを十分考慮して無理な繰上返済は控えましょう。
最後に
これから住宅ローンを組まれる人で控除額や減税額まで細かくシミュレーションをする人はあまりいないかと思います。ただ、今回ご紹介したことを理解しポイントを把握しておくことは返済計画や今後のライフプランにおいて重要になります。
自分にとって住宅ローン控除の特性を最大限に活かせる借入金額はいくらなのか。あらかじめシミュレーションしておくと良いでしょう。